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『13歳からのニューズウィーク』
全国の書店、ネット書店にて
社会のしくみっておもしろい!
大人も子どもも、
みんなが勉強して生きていく時代に――
◎国際ニュース週刊誌『ニューズウィーク』による時事問題解説書
◎1日15分、全20話
◎【社会】【経済】【科学技術】【国際情勢】【環境問題】を網羅
◎受験(中学以上)の記述対策にも最適
舞台は、東京下町にある「ニューズウォーク商店街」。
ここでは、世代、性別、国籍、そして、得意も苦手もさまざまな人たちが、支えあい、くらしています。
――時事問題を単なる《事実の暗記》ではなく、楽しい《ストーリー(流れ)で理解》しよう!
私たちのくらしのなかにある身近な「なぜ?」を、登場人物たちとおしゃべりしながら考えてみよう。
たとえば、「なぜ、BTSは世界的に大人気なの?」と聞かれたら、あなたは何と答えますか?
「かっこいいから!」
それはもちろん、そうですね。でも、それなら日本にも、かっこいいアーティストはいっぱいいます。では、なぜ日本のアーティストはBTSみたいに、ビルボードチャートの上位にランクインしたり、グラミー賞にノミネートされたりといった世界的な人気にはならないのでしょうか?
実は、韓国の世界戦略は、音楽や映画、芸能にかぎった話ではないんです。そして、こうした世界戦略には韓国の人口問題が関係しているのです。どういうことでしょうか?
詳しくは『13歳からのニューズウィーク』の「第14話 みひろの推し活ーーエンタメだけでない、韓国の勢いが止まらないわけ」を読んでみてくださいね。
ほかにも、私たちの身近なこんな問題についても考えますよ。
‐ 仮想通貨はそのうちドルに代わる?
‐ 将来はメタバースの世界でしあわせに暮らせるってほんと?
‐ 年金を払っても、ちゃんと老後に年金をもらえるの?
‐ 働きかたが変わってきているのはなぜ? 将来どんなふうに働く?
‐ 自動運転が普及するには、技術だけじゃだめってどういうこと?
‐ アメリカはなぜ、いつもいばっているの?
キャラ紹介
ニューズウォーク商店街の人たち
彦(ひこ)
25歳
商店街の八百屋「八百八(やおはち)」を切り盛りしている。巨大スーパーに負けられないと、工夫をこらして野菜を売るため奮闘中。明るく優しい性格。商売人だが、経済についての知識があやしい。
ジョンソン
?歳
スウェーデン育ちの宇宙人。グローバル企業でインテリアデザイナーとして成功している。国際情勢にくわしく、用心深い性格。刺身が苦手で、地震がこわい。みんな には人間に見えているらしい。
うめ
75歳
大学でシェイクスピアを教えていた教養豊かな常識人。ただし、テクノロジ ーには弱い。孫である彦の世間知らずをぼやきつつ、「八百八」を手伝う。
みひろ
12歳
しっかり者の小学校6年生。まだ行ったことがない日本以外の世界に興味を持っている。大のBTSファン。学校帰りに、「八百八」で彦やうめとおしゃべりするのを楽しみにしている。
タナカ
25歳
ラクしてお金持ちになりたいユーチューバー。韻を踏めないラッパーでもある。ITやテクノロジーにはくわしいが、社会常識がなく、国語が大の苦手。お調子者で、親友の彦をすぐにそそのかす。
タナカ弟
23歳
フリーター。
いまは食品製造工場バイト。
タナカ兄
27歳
起業家。投資にも熱心。
マイケル
?歳
ジョンソンの
双子(ふたご)の兄。
彦の父
53歳
上場企業勤務の会社員で
いつも忙しい。
大西さん
42歳
主婦で、「八百八」なじみの
お客さん。
もくじ
■はじめに: 大人も子どもも、みんなが勉強して生きていく時代に
■登場人物の紹介
■第1章:この日本で生きていくうえで知っておきたいこと
【第1話】ジョンソン、ビールで「かんぱい!」――民法改正「18歳成人」でなにが変わるのか
【第2話】タナカ、先輩に勧誘される――儲け話、マルチ商法、カルトがうばうもの
【第3話】タナカ、サラリーマンになる――親世代とは変わりつつある現在の働きかた
【第4話】タナカ、年金を払わない?――社会保障制度はくらしをどう支えているのか
■第2章:これからも貧しくなっていく日本の現状とは
【第5話】タナカ、弟のスマホに口を出す――「失われた30年」で貧しくなった「安い国」
【第6話】彦、アボカドを苦渋の値上げ――「円安」で生活は苦しくなるのか、ラクになるのか
【第7話】ジョンソン、ネトウヨにキレる――日本社会はすでに移民の労働力に支えられている
■第3章:テクノロジーの進歩で変わる私たちの未来
【第8話】タナカと「未来のお金」――流行りの仮想通貨はアメリカのドルに代わるのか
【第9話】彦、ひきこもる――メタバースで人はしあわせに生きられるのか
【第10話】うめ、ドローンで野菜を運ぶ――技術だけでなく法整備が課題のドローンと自動運転
【第11話】タナカ、医者を目指す――AIは人の仕事をうばう敵なのか
■第4章:私たちのくらしは世界とつながっている
【第12話】彦とビッグマックとコカ・コーラ――アメリカは、なぜいつもいばっているのか
【第13話】ジョンソンの中国出張――急成長する中国はついにアメリカを超えるのか
【第14話】みひろの推し活――エンタメだけでない、韓国の勢いが止まらないわけ
【第15話】みひろのそうじ当番――地続きのヨーロッパはEUでひとつになるのか
【第16話】みひろの募金活動――日本がアフリカに助けてもらう未来がくる
■第5章:豊かな地球、みんなでしあわせに生きていくために
【第17話】彦の節電対策――エネルギー資源の少ない日本で私たちにできること
【第18話】ジョンソンとおいしい水――世界的な水不足に備えて考えておかなければならないこと
【第19話】ジョンソン、地震がこわい――首都直下に南海トラフ、地震は必ず起きるというけれど
【第20話】ジョンソン、刺身をイヤがる――地球温暖化は寿司も世界平和もうばいかねない
■おわりに: みんなの力が良い世界と未来をつくっていく
著者 & 編者
【著者】
栗下直也
(くりした・なおや)
*
1980年生まれ、東京都出身。
2005年、横浜国立大学大学院博士前期課程修了(経営学専攻)、同年日刊工業新聞社入社。経済記者として自動車、電機、金融、エネルギーの各業界、経団連などを取材。
ブックライターとして、ビジネス、実用、自然科学などの分野で構成・執筆を手掛ける。2022年、NORAKURA合同会社設立。
構成・執筆に『2040年の未来予測』(成毛 眞著、日経BP)、『amazon 最先端の戦略がわかる』(成毛 眞著、ダイヤモンド社)ほか多数。
著書に『人生で大切なことは泥酔に学んだ』(左右社)、『得する、徳。』(CCCメディアハウス)、『図解ルネサスエレクトロニクス』(日刊工業新聞社)、など。
『週刊朝日』(朝日新聞出版)、『本の雑誌』(本の雑誌社)、書評サイト「HONZ」などで、ノンフィクション本の書評を定期的に執筆する。
【編者】
ニューズウィーク日本版編集部
(にゅーずうぃーくにほんばんへんしゅうぶ)
*
国際ニュース週刊誌『Newsweek』は米国にて1933年に創刊。
『ニューズウィーク日本版』はその日本版として1986年に創刊されて以来、世界のニュースを独自の切り口で伝えることで、良質な情報と洞察力ある視点とを提供するメディアとして一目置かれている。
Web : https://www.newsweekjapan.jp/
Twitter : @Newsweek_ JAPAN
はじめに:試し読み
大人も子どもも、みんなが勉強して生きていく時代に
勉強の目的は、しくみを知ること
いま、この本を開いたみなさんのなかには、お父さんやお母さんから「もっと勉強しなさい」といわれている人も多いのではないでしょうか。「けっ、勉強なんてしなくても生きていけるよ」と思っている人もいるかもしれませんし、「大人は勉強しなくていいよな」と思っている人もいるでしょう。
ただ、それは大きな間違いです。
みなさんが生きるこの時代は、みんなが勉強し、みんなで生きていく時代です。勉強するのは、子どもだけではありません。大きな会社の社長も、政治家も、医者も、弁護士も、料理人も、美容師も、八百屋も、体が勝負のスポーツ選手も、つねに勉強しないと生きていけません。みなさんのお父さんやお母さんは、そのことを知っているから、勉強しろというのかもしれませんよ。
ではいったい、勉強はなんのためにするのでしょうか?
勉強はテストで良い点をとるためにするものではありません。テストで良い点が取れるのは、あくまで勉強した「結果」に過ぎません。そうではなく、世のなかが、なぜこうなっているのかを考え、そのしくみを知ることこそ、勉強の本来の「目的」です。
ですから、会社の社長であれば、どうすれば会社を大きくできるのか、社員が生き生きと働けるのかについて必死に勉強し、考えています。八百屋であれば、近くにあるスーパーではなく、自分の店でみんなに野菜を買ってもらえるようにするにはどうすべきかと知恵をしぼっています。
勉強はずっと続けていこう
そして、いま、誰もがつねに勉強しなければいけないのは、世界がものすごいスピードで変わっているからです。インターネットなど通信技術の発達もあって、情報はすぐに世界中に知れわたります。一生懸命に考えたしくみでもすぐに通用しなくなるんですね。だから、つねに考えていなければならないのです。もちろん、考え続けるのは大変です。「なぜこんなふうになっているのか?」と問いを立て、その問いを追究し続けるのは疲れることですから。
かつて日本には、いまほど深く考えなくても生きていける時代が、たしかにありました。30年ほど前までは「よくわからないけれども、なんとなくこうすれば生きていける」という生きかたが、たしかに存在しました。一流といわれる大学に進学し、大きな会社に就職すれば、車を買い、家を買い、ぜいたくしなければ老後までそのまま生きていけました。
ところが、いま、そのような人生モデルは崩壊しています。この本のなかでもくわしく説明しますが、大学を出て、大きな会社に入っても、それで安心というわけではないのです。大きな会社であっても、倒産したり、他の会社に買われたりする時代です。老後どころか、就職した会社が5年後にどうなっているかがわからないような時代です。いま、日本の社会のあらゆる面で問題が起きているのは、しくみが変わっているのに多くの人が根拠なく「大丈夫だろ」と昔の感覚のまま働いているせいでもあります。
自分で決断できる大人になるために勉強しよう
最近は「グレートリセットの時代」ともいわれています。従来の価値観がリセットされてイチからやり直さなければいけない時代である、という意味です。
これはみなさんにとっては大変な時代を意味します。価値観がリセットされれば、いままで正解と思われてきたものが正解でなくなるかもしれないからです。昔は良いとされた価値観と新しい価値観が入り交じった混乱状態がいまともいえます。
こうした時代で頼りになるのは「生き抜く力」であるということを忘れないでください。生き抜く力とは、自分で考えて決める力です。なんの疑問もなくいわれたことに従うのではありません。自分で考えて決めるのです。そして、物事を判断するためには、社会がなぜそうなっているかを考えなければいけません。つまり、勉強が重要になります。
この本ではみなさんがこれからの時代を生き抜くために考えて欲しいテーマを20取り上げました。すべてのテーマはみなさんの生活や将来に深く関係します。どれもが少しはインターネットやテレビのニュースで見たり、聞いたりしたことがあるような話題です。ロボットが進歩したら人間の仕事はなくなるのか? 会社に入ったからといって、ずっと雇ってはもらえなくなるのか? 年金はもらえなくなるのか? そうした初歩的なことから「なぜ」と考え直してみると、みなさんの未来の見えかたが変わってくるはずです。はじめから読んでもいいですし、もくじを見て気になるところから読んでみてもいいでしょう。登場人物たちのおしゃべりを読んだ後なら、脚注やコラムもよく理解できるでしょうから、あわせて読んでみてください。
もちろん、なぜそうなっているのかを理解し、考えるには知識が必要です。ですから、この本は知識を身につけることも大いに応援しています。たとえば、なぜ、ロシアがウクライナに攻め込んだのか? ウクライナはなぜあれほど必死なのか? ヨーロッパはなぜ一国単位でなく、みんな(EU)でまとまって対応しようとしているのか? 本書で取り上げているこうしたいまのできごとは、歴史の教科書に出てくる第一次世界大戦や第二次世界大戦とつなげて考えると、これまでとは違う景色が浮かび上がるでしょう。つまり、いままで身につけた知識が新たな学びに生かされるのです。
そして同時に、大人はみんな知っています。
いま当たり前だと思われている知識が、意外とあっけなく、当たり前でなくなることを。「えっ」とおどろくかもしれません。しかし、それが世界の真理です。みなさんの身近な話ですと、「運動するときには水を飲むな」と、かつて学校の先生はいっていました。しかし、いま、そんな指導をしたら虐待で訴えられます。当たり前とはそのようなものなのです。ただ、もし世のなかの「当たり前」が変わったとしても、物事と向き合って考える力をみなさんからうばうことはできません。みなさんが18歳になっても40歳になっても80歳になっても、考える力は味方してくれます。考える力を身につけていれば生きていけます。
私たちの身のまわりでなにが起きていて、それがなぜそうなっているのか? これからどうなりそうか? それでは、さっそく一緒に考えていきましょう。
2022年11月 栗下直也/ニューズウィーク日本版編集部