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AIと「書くこと」の未来:近藤康太郎の『三行で撃つ』ためのライター講座【第0回】@Twitterスペース

近藤康太郎さんをお迎えして、Twitterスペースでお話をうかがいました。9月から開催するライター講座「朝日新聞編集委員があなたの文章、ガチで添削!:近藤康太郎の『三行で撃つ』ためのライター講座」の、いわばPR。金曜日の夜にもかかわらず、308人もの方がご参加くださいました。


ツイッター嫌いの近藤さんなのでこういう機会は貴重で、それだけに、できればたくさんの読者の皆さまに聴いていただけるといいなあと思っておりました。皆さまのアイコンがずらり並ぶスペースは、とても心強かったです。


本当にありがとうございました。(&私のスマホの不具合で、ちゃんと聞こえていたらしい近藤さんのトークを何度かぶった斬ってしまい、ほんと、ごめんなさいっっつ!!!)


YouTubeにアーカイブを残しましたので、未見の方もぜひお楽しみください。

(※本記事末にはトーク内容の目次を掲載しています。視聴の際にお役立てください)


ちょっとだけ裏話をしますと、私、じつは今回のスペースのために、もっと多くの質問を用意していたんです。が、じっさいには用意していたうちの半分も訊かなかった。近藤さんから「この質問については講座でじっくり話したい」という要望があったものについては、すべて外したんですね。それで、あの密度の話が聞けてしまった(撮れ高に震える)……という。


それだけに、ぜひ! スペースをおもしろく視聴してくださった方には、本講座のほうにもご参加いただけたら嬉しいなあと思っております。だって、めちゃくちゃいい話になるに決まっているから。


最後に、雑感を。


だからわたしは死ぬまでやるでしょうね。 だから、好きなんですよ。 (沈黙)

これ。ヤバく(←禁句。近藤さんに怒られるやつ)なかったですか?


この言葉でいきなりトークが終わった。きれいに締めたって感じじゃなく、唐突に、停止。それが、めちゃくちゃかっこよかった。スペースを開いてみてよかったと思いましたし、なにより私、何十年も近藤康太郎読者でいてよかったと思ったひと言でした。(ま、「猫が死んだ日も書く。猫のために」も、よかったけど)


あんまりかっこよく終わったので、陳腐になると思って言わなかったのですが、近藤さんはなぜ書くことにかくも執着するのか? その心を少しだけ掴めたような気がした文章を、最近読んだので、そしてそれがとってもいい文章だったので、紹介します。


メロディーに限界はない。人間のクリエイティビティーは、無限だ。人間の感受性も、また無限だ。美しさを美しさとして聴きとれる。そんな人間に、信をおく。 ——近藤康太郎「音が生まれ、響き、消える」 『別冊ele-king 坂本龍一追悼号[日本のサカモト]』

坂本龍一さんについてお書きになった文章だけれど、これは「表現」というものに表現者が込める祈りの話なのだと思って読みました。人を信じようとする人の切実な祈祷。音楽だけではない。文章にもその魔力があり、近藤さんは毎朝、早く起きて、一生懸命祈っているんじゃないのかな。


“テクスト”に限界はない。人間のクリエイティビティーは、無限だ。人間の感受性も、また無限だ。美しさを美しさとして“読み”とれる。そんな人間に、信をおく。


編集者の職業的癖、深読み、誤読なのかもしれないけれども。


編集Lily



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■ 目次


◎ イントロ(0:00〜)

本講座の案内


◎トピック1(4:05〜)

優秀な生成AIが登場した。メディアにかかわる人たちは、今後大丈夫なのか?

  • 仕事は奪われる。しかし、「私」のいうライターという存在はなくならない

◎ トピック2(8:20〜)

新聞という現場。新聞記者という職業は今後どうなる?

  • 自分が書く必要がないものを、そもそも書きたいですか?

  • 転・節・界

  • なぜ自分は書いているのかをよくよく考える

◎ トピック3(18:59〜)

AI以前にライバル「人」も大変だ。優秀な記者/書き手がいる大手新聞社で、近藤さんのポジション戦略は?

  • No Plan Is My Plan

  • 事故りやすい体質をつくる

  • 事故に遭わないという事故:取れ高ゼロ、何も起きない取材で書く

◎ トピック4(30:47〜)

インタビュー(取材)ができるというだけで書き手はAIに勝てるのか? ネタさえ取れたら、文章力はいらないのか?

  • ライターに必要な「夏の大三角形」「冬の大三角形」

  • 企画(アイディア)、取材(コミュニケーション)、文章(エクスプレッション)

  • 文章力とは何か

  • 語彙、文体、企画、ナラティブ(語り口)のうちAIに絶対できないこと

◎ トピック5(44:02〜)

近藤さんは、毎早朝、1日も怠けることなく文章を書いている。「(AIが発展しようと、書く先がなくなろうと)死ぬ日の朝まで書いていたい」といつも言っている。なぜそこまで執着するのか? 近藤さんにとって文章の魔力とは?

  • 習慣は第二の天性:猫が死んでも書く

  • やらないと分からないことはたくさんある:やってるとおもしろくなる

  • (キーボードの上で)指がダンスする

  • なぜ書くのか? 好きなんですよ

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